以前、アクア・マーストを取材して、東洋経済オンラインに ”婚活弱者だった「海外駐在員」に追い風が吹くナゼ” という記事を書いてくださったライターの大宮冬洋氏がご来社、再び取材を受けました。
大宮氏の転載許可を頂いたので、一部ご紹介します。
アクア・マーストという会社が、外の人の目から見てどんなふうに映っているのか?その一端を知ることができる内容になっています。
ローカルでありながらグローバル。海外駐在員のサポートに強みを持つ結婚相談所

全国各地の結婚相談所経営者と対話することが趣味のようなライフワークになっている。 僕は男女関係のリアルな話が好きだという理由もあるけれど、結婚相談所の運営を長く続けている人はほとんど例外なくパワフルで親切で会話上手だからだ。一緒にいるだけで、何となく明るく前向きな気持ちになることが多い。
2001年、創業の結婚相談所「アクア・マースト」を率いる市原圭子さんはその典型例でありつつ、かなりユニークな存在でもある。 ローカルに根を下ろしつつ、世界中にいる独身の日本人、すなわち海外駐在員や在住者の婚活をお世話しているのだ。
市原さんとはすでに何度か対話しているが、仕事場を訪ねるのは初めて。職業人の真価をはかろうと思ったら、その現場を見なければならない。市原さんはスタッフを雇用している「社長」なのだからなおさらだ。僕が住んでいる蒲郡市も含まれる東三河地方の中核都市(といっても人口37万人弱)である豊橋市に行こう。

こちらは事務所の外観。市原さんと右腕スタッフの長谷川さんの写真入りの看板に「結婚したい」というキャッチコピー。完全に振り切っていますね!
重要なのは会員との信頼関係作り。コミュニケーションに時間を惜しまない
豊橋駅から車で5分ほど、国道1号線のそばにある大通り沿いの低層ビルの2階にアクア・マーストは入居している。白を基調とした明るい事務所を見て驚いた。10人以上のスタッフが机を並べて黙々とパソコン画面に向かっている。結婚相談所というよりも、どこかのコールセンターの一角みたいな光景だ。
「一番大事なのは会員との信頼関係づくりです。カウンセラーは仕事時間の大半を会員様とのコミュニケーションに使っています」
自慢のスタッフたちです、と市原さんはちょっと誇らしげ。 カウンセラーはプロフィール作成からお見合いのセッティング、プロポーズのサポートなどを一貫してお世話する。海外在住者同士が帰国時に一緒に見に行きたいというお笑いライブのチケット取得を代行したりもするらしい。

新卒でかのヤオハンに入社し、2年目に香港の店舗に異動したという猛烈な経歴を持つ市原さん。地球儀が似合う果敢な女性です。
人材の鉱脈は「子育て中の優秀な女性」。柔軟かつ積極的に採用して組織を拡大中
子どもがまた小さい人などはパート社員や契約社員として勤務中で在宅勤務も可能だ。チラシやホームページを作るデザイナーと動画やSNSの担当者がそれぞれいる。仕組みと役割分担がある程度は整った中規模の結婚相談所と言える。
僕が訪れた平日の14時過ぎはコアタイムなのだろう。社長の市原さんを「圭子さん」と呼ぶような和気あいあいとした雰囲気ながらも、それぞれが真剣な表情で仕事に精を出していた。
自動車を中心とする大手製造業に優秀な人材が集まりがちな愛知県だが、子育て中の女性がサービス業で安心して活躍できる場は限られている。市原さん自身は、愛知と東京の2拠点生活をしながら夫と共働きをして子どもを育て上げた経験がある。家事育児と仕事の両方がやりたい女性の採用や処遇の勘所がわかっているのだと思う。

海外在住者固有の悩み。そのパターンを経験するほどカウンセリングの幅が広がる
アクア・マーストの最大の特徴は、海外駐在員や海外在住者の会員の多さである。全会員数の2~3割を占めるという。これも会社員時代に海外勤務が長かった市原さんの経歴によるところが大きい。
「夫から紹介してもらった一人の会員様からスタートしたのが2001年です。 私は『もっとこうすればいい!』というアイデアが常に出てきます。 住んでいた香港やシンガポールでは日系の大手新聞の現地版に当時は数万円で広告を載せられました。 現地の知り合いからの紹介もあり、海外駐在員の会員様は開業当初から少なくありません。当時は今のようなオンライン環境はなかったので、PDFファイルで資料を送り、スカイプで話していたのを覚えています」
コロナ禍によってzoomなどを使ったオンラインお見合いは当たり前になり、海外在住者も婚活しやすくなった。アクア・マーストだけで1ヶ月のうちに3、4組ペースで成婚が出たりしている。主に担当しているのは入社12年以上のベテラン社員である長谷川さんだ。
「海外で働いている方は頭が良くて(幸せな結婚という)目標を達成するためにもスピーディに物事を進められる傾向があります。私のほうが学ぶことが多くて面白い仕事です」
とはいえ、海外在住者ならではのハードルもある。一度も実際に顔を合わせずに結婚に至ることは難しいからだ。
「どのポイントで帰国してもらい、逆に日本にいる側がいつ会いに行くのか。それぞれ異なる外国に住んでいる人同士が第三国で会うにはどんな手順を踏めばいいのか。いろんなパターンを経験して、提案できるようになってきました。それが私の強みです」
(アクア・マーストより:愛知県は海外駐在員として転勤される会員様も多い)

地域の結束が強い土地柄。そこで培われたものを対外的な仕事にも生かす
にこやかに話してくれる長谷川さん。対照的なのは入社2年目のカウンセラーである小嶋さんだ。(中略)担当は「東三河」でまさに地域密着。(中略) 市原さんによれば、1年目から成婚をバンバン出している注目株のスタッフである。
「サポートのしやすい会員様を新人の私に回してもらったからだと思います。カウンセラーの仕事がとにかく新鮮だったので、会員様の一人ひとりにちゃんと向き合えました。今は仕事に少し慣れてきたので、上から目線にならないように気をつけています」
豊橋は地域コミュニティの絆が強く、「よそ者をすぐには受け入れてないけれど、一度親しくなると深い信頼関係を築きやすい」土地柄だという。そこで当たり前のように培ったコミュニケーション力を意識的に仕事に応用すれば、地域外の会員の懐にも飛び込んでその心をつかむことができるのかもしれない。海外で孤軍奮闘している人は特に心強く感じるだろう。豊橋という地域が持つ、いい意味での田舎力である。

豊橋と兵庫は遠くありません。地球儀上ではほぼ同じ点の中の地域です
(中略)「いつも世界地図を見ながら仕事をしているので、地元での出会いを希望する人にも幅広い提案ができる」という仮説にいきついた。
例えば、同じ豊橋市民との結婚を望んでいた男性会員がいた。こういう人は名古屋市民との出会いすら「遠すぎる」と敬遠する傾向がある。ただし、彼は背が高くてカッコいいため、兵庫県在住の女性がお見合いを希望。 担当カウンセラーの小嶋さんは地球儀を念頭に置いて、豊橋市と兵庫県はほぼ同じ点にあるぐらい近いと説得。相手の女性が名古屋まで出て来てくれたこともあってお見合いが成立。無事に成婚に至ったという。
「愛知県の人は西日本にも東日本も行きやすいですよね」
アクア・マーストでの仕事を通じて、小嶋さん自身の視野と行動範囲も広がっているようだ。

地図を広げると見えてくる地理的な利点。後付けでもいいので武器にする
実際、豊橋から電車を使えば、東京と大阪までどちらも1時間半ほどで行ける(名古屋は明らかに関西寄り)。市原さんはそれを狙って豊橋に本店を作ったわけではないのだが、天の配剤で「ローカルでありながら全国・全世界対応」の結婚相談所にふさわしい場所を選んだのかもしれない。
東日本にも西日本にも「いい顔」をして、縁のある人たちの懐に飛び込み、お互いを温められるようなつながりを作っていきたい。(了)

アクア・マーストこれまでの歩み
アクア・マーストは元海外駐在員の代表市原圭子が欧州から帰国後、駐在時代に自身が婚活に苦労した経験から東京で2001年に創業。 東日本大震災をきっかけに愛知県豊橋市に新オフィスをオープン。(その後本社は豊橋に変更)
現在アクア・マーストは 地元~日本全国~海外に会員様を有しており、来店不要のオンライン対応の他、愛知豊橋本店、東京店、名古屋サロンと3つの拠点で結婚相談所を展開。 また仲人型のご縁結びサポートLGBTQサロンを運営しております。